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天才のヒラメキを見つけた!

tensai.jpg 天才のヒラメキを見つけた!
知の旅シリーズ第一弾
WAC

定価:857円(税別)

日垣のラジオ番組「サイエンス・サイトーク」の書籍化再び

本書は全国の書店またはamazonなどのネット書店でお求めください


目 次


第1話 記憶の仕方 羽生善治

  一〇〇人と同時に対戦
  一万通りの対局が記憶されている
  四〇年前にタイムスリップしたら......
  一〇代の記憶に限界なし
  将棋にも時代の流行が
  現実は将棋盤のようには進まない
  ギャンブルと将棋の違い
  タイムリミットは二六歳
  女性は駒を取りたがる?

第2話 勝つ発想法 羽生善治

  一九歳で将棋の頂点に
  家族と将棋を楽しむ
  幼少時から将棋を始めるメリット
  米長邦雄名人との大一番
  北朝鮮の将棋ソフト開発者
  人間が将棋ソフトに負ける日
  瞬時にピントを合わせる
  勝負の五割は体力で決まる
  朝からボーっとしていると負け
  邪道が将棋を進歩させる

第3話 頭は良くなる! 川島隆太

  "メール脳"と"手書き脳"
  猿の脳みそ、人間の脳みそ
  ぼんやりするときの脳
  麻雀で脳を活性化!
  脳は再び若返る
  脳の潜在力を高めるヒミツ
  脳みそを太陽に透かして見れば
  早起きは三文の得
  頭の良い子を育てる秘訣
  ペテン師は頭がキレる
  酒とタバコは脳を殺す

第4話 俺が作ってみせる! 岡野雅行

  「痛くない注射針」の奇跡
  設計図は書かない
  雑貨ほど大切なものはない
  旧態依然の業界に殴りこみ
  花街で遊び回った青年時代
  コンチクショー! が原動力
  三年で儲けたらすぐに乗り換える
  社員はたった六人
  金儲けのテクニック
  利口な人は世渡り上手
  人生は魚釣りと同じ
  横道にそれたら会社はつぶれる
  仕事をどんどんこなす

第5話 昨日の私と今日の私は同じなのか? 養老孟司

  死体を毎日見ながら、ふと考えた
  自然はわからないことだらけ
  「世間」という日本の共同体
  「ああ、だまされた!」
  オカルトを信じてしまう理由
  「大学に行くとバカになる」
  『バカの壁』が売れたワケ
  理由は一つだけではない
  風呂の中でひらめいた
  無意識を発掘する
  楽しみは病みつきになる
  人間の細胞と慶應大学は同じ!?
  飼い猫は「家」がなんだかわからない
  言葉と脳化社会
  子育ては田んぼの面倒と同じ

第6話 養老孟司ができるまで 養老孟司

  『バカの壁』の印税は......
  三歳のころからカニ取り
  犬の死体は宝の山
  虫取り名人の目利き
  環境と子育て
  父の死と「さようなら」
  野山を走り回るのも勉強
  解剖は何に似ているか
  アヤシイ数字だらけ
  竹やりもって「非国民!」
  「知る」=「自分が変わる」
  丸める!

第7話 失敗学から創造学へ 畑村洋太郎

  マニュアルを押しつけてもダメ
  見た目が立派であればいい?
  破壊実験を積み重ねてゆく
  犯人探しだけではいけない
  機械が安全だという思いこみ
  「一〇〇%安全」のウソ
  失敗はある
  自分で失敗するしかない
  野山で子どもを縛らない
  創造するために必要なこと

第8話 本当はおもしろい数学 畑村洋太郎

  「わかる」とは?
  学校の授業がつまらない理由
  面接に一〇〇%通る方法
  誰がサイコロを千回振ったのか
  数学は役に立たない学問?
  数学嫌いが生まれるワケ
  正解なんてない!
  基本は読み書きソロバン
  三男坊は要領が良い!?

あとがき

■タイトル■

天才のヒラメキを見つけた!

日垣 隆 著

羽生 善治氏
川島 隆太氏
岡野 雅行氏
養老 孟司氏
畑村洋太郎氏
(以上ゲスト)

+TBSアナウンサー


■ 帯 ■

あなたの

脳の限界が

ぐんと広がる!

「知の旅」シリーズ第1弾


■立ち読み■

第1話 記憶の仕方  ゲスト 羽生善治氏 より

一〇〇人と同時に対戦

日垣隆 羽生さんはファンサービスの一環として、子どもさんを含めた何十人ものアマチュアの方と一度に対局なさることがありますよね。
羽生善治 ええ。「多面指し」というんです。
日垣 少ないときは相手が一〇人くらい、多いときは......。
羽生 一〇〇人ぐらいと一度に対戦したことがあります。
日垣 おお(笑)。
有村美香アナウンサー ちょっと想像を絶します。

日垣 前から気になっているんですけど、何十人も一度に相手をしていて、例えば誰か一人がコッソリ一手を動かしたりズルをしたとします。次に将棋盤を見た瞬間、そういうインチキはわかるものですか。
羽生 何十人と同時に対局していても、そういうことはわかります。
日垣 どうしてわかるかのですか。
羽生 自分が指している将棋には自分なりのルールや決めごとがあるので、Aのケースでは絶対この形にする、Bのケースでは絶対この形にはしないということが一目でわかるんです。棋譜【きふ】を見れば自分の指した将棋かそうでないのかわかりますから、誰かがコッソリ一手動かしてもバレてしまいます。
日垣 羽生さんの将棋の指し方をものすごく熱心に研究している少年がいたとして(笑)、自分のぶんを一手、それに対して羽生さんが指しそうな一手、合計二手をコッソリ動かされたらどうですか。
羽生 ああ――。それは、わからない可能性はあると思います。いや、たぶんわかりません。

日垣 例えば五〇人という人数を相手にしていると、全員それぞれ将棋の指し方は違うわけですよね。多面指しが終わったあとに、五〇人分の棋譜を復元することは可能ですか。
羽生 それは不可能です。ただ、多面指しが終わったあとに「ここは良かったね」「ここが悪かったのでは」と皆さんに説明してあげなければいけませんから、対局の途中にポイントの場所を先に決めてしまい、そこだけ記憶しておくのです。
日垣 ほっほう(笑)。
羽生 ですから、対局が終わってからパパっとポイントの棋譜を再現してアドバイスできるのですよ。
有村アナ アマチュアからプロのトップランナーを見て、一番あこがれてしまう瞬間ですね。


一万通りの対局が記憶されている

日垣 プロ同士の対戦となると、アマチュア棋士との多面指しとは次元が違う大変さがあると思います。対戦相手が過去にどんな試合をしてきたかということは研究し尽くしたうえで対局に臨むのでしょうし、ある局面でどんな手が使われてきたかという将棋のパターンも覚えていなければなりません。個人差もかなりあるのでしょうけれど、強いプロ棋士は何千試合も覚えているのではないかと思います。例えば、一九九六年の名人戦第五局がどう指されたかということを、羽生さんはいまでも全部覚えておられるのですか。
羽生 対局の日付までは正確に覚えていませんが、局面を見ると過去に誰と誰が指した将棋かということくらいは思い出せます。
日垣 一〇年前にあった対局と三五手までたまたま同じ展開になったとします。そういう場合、「ここまでは一〇年前の対局と同じだな」ということに気づくわけですか。
羽生 そういうことです。私は一万局くらい覚えていますが、そこまで覚えている人はあまりいないと思いますよ。
有村アナ 一万局、ですか......。

日垣 私だったら四手くらいまでなら辛うじて覚えられるかもしれませんが、プロの領域はちょっと想像がつきません。「一対局分の指し手を全部一週間以内に覚えろ」と言われるくらいなら、一週間ホテルに籠もって一冊本を書いたほうがよっぽどマシだと思います(笑)。百数十手もあるような対局を数多く覚えるということは、論理的に覚えるというより、むしろ映像型で記憶する方法に近いのでしょうね。
羽生 将棋を覚えるのは、歌を覚えることと同じようなものなんです。
日垣 ああ、なるほど。
羽生 日垣さんも経験があると思いますが、一つのメロディーが出てくると次から次へとメロディーを続けて思い出せますよね。それと似ていまして、ひとつながりの音楽を覚えるように次の一手、次の一手......と覚えるんです。例外は、将棋を覚え立ての人が指した場合です。

日垣 音楽でいうと突然不協和音が入るように、素人に近い人は思わぬ予想外の手を指してきますからね。
羽生 次にどういうメロディーが続くのかわからなくなり、混乱してしまうのです。予想外の一手が混じってくると、棋譜を覚えづらくなります。でもプロの対局では基本の形に沿って指される将棋が多いので、わりあいたくさんの棋譜を覚えていられますよ。将棋の対局をたくさん覚える作業は、大きな建物を建てていくことと似ています。最初に基礎の土台があって、その上にどんどん記憶を高く積み上げていく様子をイメージしてみてください。


四〇年前にタイムスリップしたら......

日垣 将棋の世界には何百年という歴史があります。戦後に限って見ても、技術的な進歩はたくさんあったと思います。一九六〇年代と、羽生さんが将棋の世界に入られた八二年、それから今を比べてみれば、棋士の力は年を経るごとに確実にアップしていると断言できそうです。
羽生 ここ二〇〜三〇年ほどの将棋の世界を見ると、知識の量がものすごく積み上がりました。将棋のデータベースはどんどん整備されていますし、それにともなって棋士の力もアップしています。知識の蓄積量が上がった結果、将棋界全体のレベルが上がったのだと思います。
(後略)

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