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震災直後に部外者が電話をするのは、やめよう!


 地震が起きた――震源地が報道でわかる――その近くには知り合いがいるから、すぐに電話をかける。

 どうなるか。

 東北の漁村は、ほとんど壊滅的と言っていいほどの被害を出した。1週間ほど前に石巻港に立ち寄った際、たまたま震災以降、初めての水揚げがなされて歓声があがった。女川も宮古も、三陸海岸の多くも、まだ復興のメドが立っているとは言えない。

 大津波に襲われた際、言うまでもなく最大の被害を被るのは漁業である。
 かなり高名な寿司屋でも、いまホタテを仕入れられるところは皆無に等しい。

 地震から津波が発生するまでには、「逃げる」時間が必ずある。いったんグッと引いてから、巨大な壁となって陸地へと向かってくるまでには、長ければ数十分の時間がかかる。

 船で沖合に出ているときに津波警報が出されると、その船は沖合にとどまるか、少なくとも陸(おか)とは逆方向に舵を切る。そうすれば津波の被害に遭わなくて済む。

 普段なら、「もうすぐ帰る」というとき沖から自宅に電話がかけられる。
 途中を遮るものは何もないから、ちょうどいい塩梅で、夫婦間や親子間の電話も、短くても心が弾む。

 ところが、被災地の外部から「地震の心配」の電話が大量に入っていると ――これは常にそうなのだ――回線が満杯になり、現地内でのケータイも通じにくくなる。

 沖合の漁船から、いつもなら必ず通じるケータイで家族に、「津波が来るぞ! 早く山のほうに逃げて!」と電話しようとしても、通じない。
 その結果、少なからぬ犠牲者が出た。

 外部からの「心配電話」や「安否確認」が怒涛(どとう)の如くかかっていなかったら、こんなことは起きなかった。

 漁村だけではない。津波から逃げる途中で、家族のなかで一人だけより海に近い場所や会社にいた場合、いつもなら通じるはずのケータイは、地震の直後だけにまったく通じない。そこでも多くの犠牲者が出た。

 翻(ひるがえ)って、考えてみよう。
 地震の直後に「大丈夫ですか」と、安否を確認したい気持ちは、わからないではない。だが、地震の直後にそんな電話をもらっても、まったく被災をしなかった人々にとって多少はありがたいかもしれないが、現場の近くには電話をしたい身内や友人がいるのに、そこにかけられない。

 はっきり言おう。
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