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「思考停止」のすすめ


 思考停止をするな、という本や主張が世に溢(あふ)れています。
 私もこの言葉を使うことがないわけではありませんが、あくまで、しかるべきポジションにある人が実行に移すに際して熟慮のうえ決断する際に思考停止してしまう点を戒(いまし)めるにとどめています。

 なぜなら、日常生活や、ニュースに対して「思考停止」する程度の人に、思考停止するなと言っても効果はないでしょうし、思考停止していないのが常態である筆者が書いたものを、思考停止していないのが常態である読者が読む、というお互い自己満足の本になっているからです。

 そもそも、ある決断に影響力を行使できないポジションの人が、思考停止するのはやむをえないと思いますし、それは、むしろ自然なことでしょう。けれども、シミュレーションとして思考力と決断力を深める訓練として、リアルな素材ほど最適なものはない、とも確信してもいます。
(中略)

 東北大震災に際しても、この「社説」で「東北へ実際に行ってみよう!」と呼びかけたところ、大勢の方が行動に移してくださいました。
 行けなかった方も、交通手段が一部遮断されている状況で、なおかつ絶対安全地帯ではないところに行くのに、「どうやって行ったらいいのか」また「行くとしたら、どこが一番自分に最適か」と考えること自体、それまでの「思考停止」というか「他人事」的な目線を脱却する営為に必ずなる、という点で、とても大切なことだと思います。

 さて今回、ここで強調したいのは、目的がはっきりしているときは、その手段を続けることが苦しくても、「やるかやらないか」については迷うだけ損であり、「思考停止」すべきではないか、という提案です。

 たとえば、あなたや私が、肩こりや腰痛や脚力の低下を抑制して、むしろ増強して、長く健康で仕事をしたいと考えたとします。
 ジョギング(早歩き)や、腕立て伏せや、スクワットや、腹筋と背筋を鍛えることは、必須となります。
 好きで好きで堪らない、という方は除外します。それはオタクさんなので、誰かたまには止めてあげてね、という話です(笑)。

 継続性を考えるにあたって、重要なのは、マトリクスをつくってみると判然とするはずです――(1)必要なことだけれども継続が困難、(2)必要なことでなおかつ好きである、(3)不必要なことなのに止められない、(4)不必要なことを続けていない――。

 このようなマトリクスをつくってみると、課題とすべきは(1)だけだ、ということが分かります。(3)がアル中や薬物中毒などの場合は治療の対象となりますが、適度な趣味である場合は、何の問題も生じません。(2)は、実にハッピーな状態です。(4)も、何ら問題点を含んでいません。

 このように整理すると、継続性の問題は、結局のところ(1)でしかない、ということに気づかされます。
 この重要なマトリクスを組み立てたうえで自覚するのに「思考停止」しないでくださいね(笑)。

 思考停止は、(1)の場合に必要です。

 先ほど例として出した「目的が明確かつ正当」なジョギングやスクワットの場合、始められない、とか、続けられない、とか、今日はやりたくないという理由をたくさん思い浮かべてしまう、という類のことは誰にでもあるかと思います。

 雨が降っていたり(滑りやすいし風邪を引くかも知れず高リスク)、体調が悪いときにまで敢行するのは、もちろん例外ですし、逆効果です。
 そういうときは、それに代わるもの(通勤時に早歩きするとか)にする。腹筋や背筋は腰痛を予防するほとんど唯一の鍛錬ですし、肩こりを根源的に予防または完治させるには肩甲骨の下の筋力をアップするのが最適解ですから、腕を後ろ側にぶんぶん回すとか、腕立て伏せを「これくらいならできる+数回」だけやりきるとか、懸垂が一番お薦めです。

 実際、個人差はありつつも、おおむね30代半ばを境に、女性は脂肪が重力に逆らえず下半身に移動しやすく、男性の場合は腹筋が衰えるために胃のふくらみを抑えきれなくなり「ご懐妊」または「相撲部屋の親方」みたいになってしまいがちであり、女性とは逆に足が毎年1%の割合で細くなっていきます―― 何も対策を打たなければ。

 会社勤務という形態は、確かに「たった一カ所が倒れたり追い出されただけで収入源が絶たれる」という意味では大変リスキーな選択肢ではありますけれども(ここは思考停止しないでくださいね!)、それさえ回避する仕組みを作って(自分のスキルとフローで豊かに生きていけるようにして)おけば、出勤さえすれば仕事が進むようになっている――それが明治以来に日本に定着した会社という仕組みです。

 ところが、必要性が明確にあるのに、「やらなくていい理由を挙げ始めたらトラック一杯分もある」(by村上春樹さん)のが普通ですから、「今日はやめておこう、明日やればいい」というふうになりがちです。
 このような種類の思考を停止しよう、というのが今回の社説の要諦であります。

(後略・・・・・・ 続きをお読みになりたい方はメールマガジンをお申し込みください)

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