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『ちつ☆トレ』『ちつ☆トレ2 オーガズム革命』がベストセラー  だって? 
それでは言わせてもらおう


 このような驚くべきタイトルが、ベストセラーのトップに躍り出ている。
 嘆かわしいと言うべきか、どうなのか。

 読んでみた。
 大変、おもしろうございました。

 これが三才ブックスとか白夜書房とかデータハウスなどの版元だったら、まったく違った印象を受ける。だが、「an・an」のマガジンハウスである。
 年に2回ほど、これまで「an・an」では「セックスで美しくなる」というような特集が組まれて、良く売れるという状況が長く続いてきた。

 だが、そのフェイズとは、もはや段違いである。

 妙なる「面白さ」には二つある。

 一つは、実践的な内容としては、男子なら高校生時代にみな知っていることばかりだという点である。正確には、我々の高校時代と言うべきなのだろう。童貞君であるがゆえに、漠たる憧憬とともに、ストリップショウなどで学んだことが、ほとんどそのまま書いてあり、出版意図(など知らないけれど)とは異なり、セックス本と化している。これは意図したのかな。そりゃそうだ。

 第二には、ときどき鋭い指摘に出合う。「こころに関するQ&A」の章(『ちつ☆トレ』)に、こんな記述があった。

《Q:以前、自分から彼をセックスに誘ったら、「疲れているからカンベン」と言われて断られてしまいました。それがトラウマで自分から誘うのが怖くて......》

 なぜ、俺に相談しないのだ(笑)。
 とにかく基本、男女ともに肉食系でいいのである。あくまで表面的には、女性はしとやかに、男性は紳士的にふるまえばいい。にもかかわらず――。

(1)楽しいことがほかに増えた。対照的に例えばギリシャは、債務超過でEU を始め世界中に迷惑をかけているにもかかわらず、救国の手をフランスやドイツが差し伸べたら国民投票で是非を問うなどと言い始めた「楽しい国」であるのは記憶に新しい。ギリシャは伝統ある国であり、セックス大国でもある。コンドームメーカーが毎年発表する「20歳以上65歳以下のカップルでのセックス回数」で常に1位をキープしてきた。140回を下回ったためしがない。日本はいつも50回+αくらいだろうか。週刊誌はその都度「日本人は弱くなった」という側面から記事を書くのだけれども、週1もあれば充分ではないか。
 平均なんだから――。

 ギリシャ人のように平均で145回だったら、0や10もいるわけだから、250回も少なからずいるわけだ。そもそも俳人たる小林一茶のように妻との回数を日記に書きつづっている(1晩で7回という日もある)のでもない限り、年に何回と正確に答えられる大人がどれだけいるだろう。そもそも、コンドームを売りたいメーカーが、商品を売るための企画として広報しているのは明らかである(『個人的な愛国心』角川oneテーマ21)。

 結果は、ギリシャ人は、やりすぎか、見栄張りかの、どちらかだという結論にたどりつかざるをえない。

(2)ギリシャ人は(フランス人やドイツ人とは対照的に)イタリア人やポルトガル人と同じく勤勉ではない。だから、遊びが勤労より優先される。それだけならいいが、勤勉な国家に国債を買ってもらって、つまり大借金をして、納税は増えず、遊びすぎている。
 遊び――大いに結構。だが、未来の子供たちに借金を押し付ける先進国の政治家たちはクレージーでなければエゴイストだ。

(3)遊び優先のギリシャ人に学べ、とは全然思わないが、この世界同時不況を馬耳東風に生きるラテン系には、やや複雑な感情をもたざるをえない。彼らは、とにかく「楽しむ」ことを優先している。
 他の多くの勤勉な国々では、この不景気と不安社会のなかで、「がむしゃらに働かなければならなくなってきている」傾向は否めない。

 ま、そういうわけで(そんな教養あふれる解説は本書にはもちろんない(笑))、先ほどの答えは、こうである。

《A:確かに男性はメイクラブのとき、運動場を4周くらい走るほどの体力を使うのに、それに気づいて自分で腰を振る女性は少ないから、疲れているときにするのは酷。【引用者註:ふざけんな! 二人とも自由に楽しめばいいのだ!】でもどんなに疲れていても、それを超える快感があれば彼らは走り出すもの。だから「疲れている」「忙しい」は、男が断るときの常套句。【引用者註:カップルや夫婦において、基本「断る」は「なし」である。これを1度でも言われたら50%の確率で浮気かセックスレスになることは必定だ。それを「常套句」とは! 認識が甘すぎる。】それさえ言えば逃げられると思い、けむにまいている状態だと言えるよね。「疲れているからまた明日ね」「今忙しいから週末にね」などと別の提案を出してきたら、それは本音だと思うけど、代案を出さない限り、「疲れている」「忙しい」の裏には何か他の理由が隠されていそう。彼がけむにまいている本当の理由を知るために、一緒に考えてくれる男友達を数人つくることをおすすめします。》

 その男友達とどうかなるのが普通だと思うけどね。不謹慎なのかな。
 アダム徳永先生か俺に相談するのが、一番だと思うけどね。

 続巻にあたる『ちつ☆トレ2』は、《ちつトレを実践した女性たちの幸せ結果報告会レポート》など、かなり笑える。

 不況にあえぐ出版界には、柳の下のどじょうが何匹もいる。好景気のとき以上に、似たようなタイトルの本が売れる。オリジナリティがなくても、深いところで実践的でなくても、あまりリテラシーに強くない「焦り気味のサラリーマン」が手を出してくれるからだ。

『ちん☆トレ』というのは、如何であろうか。
 私なら一晩で書きあげる。

 まさか、こんな結論になろうとは。ここには、大量のノウハウが詰め込まれる。失敗談も満載。基本は「使えば使うほど......」。

 セックス本がややブームで、ストレッチ本がかなりブームで、落ち込み始めたとは言えビジネス書が健在という中で、これら三つをミックスした『ちん☆ トレ』。いかがですかね。

 もちろん、パロディではありますが、女性向けに『ちつ☆トレ』というタイトルが全国紙一面の下段に何度も出て、たくさん読まれているらしい様子を見るにつけ、社説を述べた次第である。

(後略・・・・・・ 続きをお読みになりたい方はメールマガジンをお申し込みください)

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