ID:

パスワード:

|次の記事

アフリカに対する考えが変わりました(6)

マルサス(1766年~1834年)の『人口論』(1798年刊)をお読みになったこ
とはありますか。

「この古典を読まずに死ねるか!」という講座を機に、当メルマガ読者のうち
「古典講座メーリングリスト」に入っておられる300名あまりの方のうち、今
月の当番の方が『人口論』を取り上げられたのですが(ちなみに12月は『百人
一首』、1月は私が新刊『つながる読書術』の末尾で100冊を推薦したうちのツ
ルゲーネフの『はつ恋』)、この書物はごく大雑把に言えば、人口が増えて食
糧が足りなくなることへの懸念と、その要因となる性欲は断じてなくならない
(食物生産は有限だが性欲は普遍)――という二つの「大前提」に発して貧困
と犯罪の増加を懸念した書物だと言えるでしょう。

 版を重ねるごとに加筆され、確か初版よりも5倍くらいにふくらんだはずで
すけれども、いま私たちがマルサスの『人口論』として読む内容は、上記のこ
ととともに、「人類の幸福」についての考察が増補されています。

 幸せ(幸福)とは、私の定義によれば(『刺さる言葉』角川oneテーマ21)、
今この状態があと1分でも10分でも10年でも続いてほしい、という心の在り方
だと思うのですよ。

 ただしマルサスは、貧困問題の解消よりも、人口抑制に政策的解決を見出そ
うとしたものですから、人口抑制を説き、簡単に言ってしまえば性欲を抑えな
さい、あるいは経済力がつくまで結婚はするな、と書きました。要するに今の
中国での「一人っ子」政策に採用されるのも、宜(むべ)なるかな――。

 アフリカの至る所における中国人の振る舞いについては、項を改めて書きた
いと思います。批判や罵倒ではありません。必要なものは、クリティーク(現
状を踏まえた批評)です。

 さて、論理的に考えて、「幸せ」が一寸も落下せず継続するという事態は、
まずありえないでしょう。挫折や失敗や苦労があって、それを乗り越えるとい
う体験も必要に違いなく、運命的な赤い糸を感じて熱愛後に結婚して半年後に
離婚があったり、犬猿の仲と言われた幼馴染が大人になってからもっと大きな
喧嘩をしたりするなかで、相手の思考回路の深さをある瞬間に悟り、その後
「死が二人を分かつまで」仲睦(なかむつ)まじき結婚生活を続けたケースも
あります。

 幸福論は、古典にもたくさんあります。アラン、ヒルティ、ラッセル、ヘッ
セ、ゲーテなどなど、それをテーマにした古典は山のようにあります。
 しかしその中で、性欲について真正面から論じたのはマルサスだけではない
かと思います。

 不感症の方や、セックスレスや草食系男子が増えたと言われています。
 かつて私は精子や生殖に関する1世紀にわたる研究成果を分析したことがあ
りますけれども(『それは違う!』文春文庫)、幾つかの結論のうちの一つは、
戦争に行く兵士や、飢餓が恒常的になってくると、確実に精子の数が増える、
という点です。

 では、現代日本人男性の精子の数はどうなのでしょうか。1ミリリットルあ
たり数億匹――匹なのか?――『数え方の辞典』にすら女性研究者が著者であ
るためか、「卵子」は個と出てくるのですが、「精子」の項目はありません。
ついでながら、節分には落花生を撒く地域と煎り豆や大豆を撒く地域とに分か
れているようでありますが(オランダから大豆が輸入され、「鬼は外、福は内」
と叫びながら撒く習慣が始まったのは元禄時代、その時は大豆だったそうです)。
私がここで言いたいのは、落花生の数え方。植物としては「本」「株」、殻が
ついたままだと「莢(さや)」や「個」、殻から取り出したピーナツは「粒」
で、商いの単位としては「袋」というような、日本人は世界でもまれに見る多
彩な表現をもった民族であるという点と、それにしては精子をどう数えたらい
いのか不明っぽい――この点については『それは違う!』にも書きましたので、
重複を避けますね――)です。

 ともかく、貧困や食糧、人口問題や、ひいては幸福についてまで言及しよう
とするに際しては、性欲や生殖について避けるわけにはいかないと私は思うの
ですよ。

 前号で、アフリカのサバンナで見たライオンの生殖活動の写真のURLを貼り
ましたが、FB(フェイスブック)に転送されてしまったため、ご覧になれな
かった方も多かったようです。

 私は、このような行為を2日置いて合計5回の交尾を拝見したのですけれども、
15分に1度の交尾、1回は15秒程度、それを数日繰り返す、という光景を目(ま)
の当たりにして、「性交が気持ち良くなければ動物も滅びる」という当然のこ
とに、ある種の感銘を深めました。

 そして百獣の王の場合、これだけの回数をこなさなければ子孫繁栄ができな
いのだなあ、ということと、15分おきに交尾する雄に対して雌がセックスレス
で応じたり、拒否したり、不感症だったりするのは死を意味する、という点に
も感じ入りつつ、現代人は非常に特殊な「進化」を遂げているのかもしれない、
とも思い至りました。

 よく知られた統計によれば、1年間にギリシャ人は日本人の約3倍もセックス
をしていることになっています。見栄張り部分や羞恥部分もあり、また正確に
年間の回数をかぞえている奴なんかおらんだろう、という疑念はあるものの、
ともかくギリシャはEUの先導諸国から叱咤され続けておりますが、しょうがね
えだろ、そういう国なんだから――。超勤勉な(旧西)ドイツ人と、仕事より
遊び大好きのギリシャ人と、どちらが幸福なのか、というのは実のところ真剣
に考えてもいい問題であるとも思います。

 話は前後しますが、ともかくライオンの15分おきの交尾の「いった」瞬間は、
本当に気持ち良さそうでした。

 ご希望に答えて(新しい生命に関わる大切な問題ですから!)、連続写真を
ここに公開しておきますね。

(1)雌のフェロモンが出て、雄がそれに引き寄せられるように、近づいてく
  る。雌は、明らかに雄を待つ態勢――のように見える。

  ↓

  http://gfighter.net/images/photo/africa2012_014.JPG


(2)近づいてきました! ワクワク(ライオンたちがね)。

  ↓

  http://gfighter.net/images/photo/africa2012_015.JPG


(3)すっと合体。何の齟齬(そご)もない!


  ↓

  http://gfighter.net/images/photo/africa2012_016.JPG 


(4)大きな善がり声とともに「いった」瞬間(未確認)。

  ↓

  http://gfighter.net/images/photo/africa2012_017.JPG




(5)15秒で交尾は終わり、雄も雌も満足そう。雌はゴロニャン態勢。

  ↓

  http://gfighter.net/images/photo/africa2012_018.JPG


(6)3回の交尾を15分ごとに繰り返し(ずっと見ているわけにもいかないので、
  その日は撤退)、「これが数日も続く」と専門家から聞いたので、本当か
  どうか、その2日後に同じ場所近くに行って再び見学することに。

  ちなみに、私とも親しい動物学者によれば、「ツルでさえ交尾を見られる
  のが大きなストレスになるから、上野動物園では360度から客に見られる
  檻がウリだった時期もあるけれども中止すべき」と言っていました。その
  点、さすが百獣の王です。


(7)ともかく、2日たって到着後10分もしないうちに、ゴングが鳴った。
 
(後略・・・・・・ 続きをお読みになりたい方はメールマガジンをお申し込みください)



|次の記事

 

ページ先頭に戻るトップページに戻る