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今を読み解く本の話

imahon160.jpg 今を読み解く本の話


450円(税別)


目次

いつから土地に執着し始めたのか一司馬遼太郎『土地と日本人』ほか
それでも家を建てる?
クローン人間の誕生
臓器移植の正しい議論の仕方
ゲリラとテロリスト
「うなぎ」と「失楽園」
「酒鬼薔薇聖斗」とソディアック
14歳のプライバシー?
家族を殺した子供たち
「うさぎのいない月が悲しかった」
親の権威と権威主義とは全然違う
猫一匹でもそれは家族なのか
バブルを描いた二つの小説の奇遇
暑いのは気象庁の責任じゃないけどさ
良い占いなら自縛されてもいい
インターネットを超えて
「問題」という強迫観念
「ヤオハン本」を倒産後に読む
ハワイはなぜ愉しいか
チェ・ゲバラを知っていますか
学校改革の要諦は大人にあり

1997年3月―10月発表 未書籍化作品

立ち読み

「うさぎのいない月が悲しかった」

月面着陸の思い出

 アポロ11号が月面に着陸してアームストロング船長が降り立った1969年7月―もちろん立花隆の『宇宙からの帰還』(中公文庫)が出るのはずっと後のことだから、誰が最初に月面に立つかを巡って船内で葛藤が演じられていたとは想像すべくもなかったが―、当時小学4年生だった私は、翌日の授業のひとこまを鮮明に思い出す機会が最近あった。
 担任が、月面を歩いたあの光景を見て何を感じたか、と問い、ありきたりのことを大勢の子が次々に答えたあとで、祐子というひとりの女の子が、「月にうさぎがいないことがわかって悲しくなった」と、本当に悲しそうに発言したのだった。
 (中略)
冷戦と威信

 'I'm on the Mars.(われ火星に到着せり)'とのメッセージが火星探査機パスファインダーからNASA(航空宇宙局)に届いたのは7月4日の独立記念日だった、というニュースは、いかにもアメリカというほかない演出である。全国民がフィーバーしている様をこれでもかこれでもかと見せつけられると、こちらまで恥ずかしくなってくる。「ニューズウィーク」7月16日号も「火星探査」を大特集し、こう書き出す。
 「6時間半もの間、カリフォルニア州パサデナにあるジェット推進研究所の管制官は、1台のコンピュータの両面にクギづけになっていた。火星からの便りを待ちわびていたのだ。夕方になって近隣の町でアメリカ独立記念日の花火を打ち上げる準備が始まったころ、両面に輝かしい画像が表れた。科学者チームの部屋に、ビートルズの『ツイスト・アンド・シャウト』が流れる。ボリュームいっぱいだ」 彼らのアイデンティティーとして独立記念日を祝い、スプートニク・ショック以来ずっと威信をかけ続けてきた米国民にしてみれば、「われ火星に到着せり」は断じて7月4日でなければならなかったのだろう。おめでたいことだ。
 アメリカはかつて、国際地球観測年たる1957年に向けて人工衛星バンガード計画を世界に向けて公表し、大国の面子にかけて「一番乗り」に圧倒的自信をもっていた。だがしかし57年10月、ソ連がスプートニクの打ち上げに成功し(それまで地球を回り続ける人工衛星は机上の理論でしかなかったのだ)、世界に向けて突如「わがスプートニク第1号は、電波を発信しながら地球の周りを飛行中である」と発表、さらに同年11月、ライカ犬を乗せて第2号を打ち上げたのだった。あの40年前の「スプートニク・ショック」を、米国民はいまだ忘れていない。ソ連に後れをとったアメリカが、バンガードを諦めてエクスプローラーを打ち上げるのは58年1月のことだ。「スプートニク・ショック」は、こうして米の冷戦の起爆剤となり、以後30年間も世界を東西冷戦の悪夢に縛りつけることになる。

(後略)
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