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脳卒中からの帰還――大きな奇跡は小さな積み重ねから

nousocchuukaranokikan160ribon.jpg 患者が書いた奇跡の回復法――脳卒中「超」完治は夢ではない

なぜ、脳卒中「後」長期入院した患者には地獄が待っているのか。病院でのリハビリ依存を退院時にやめ、人生の主人公を取り戻す技術は、実は患者だけのものではない!
世界初の脳梗塞入院全記録をドキュメント化した著者が、最前のリハビリ活用術と、楽しく充実した、また人の役にも立つ人生を、従来の旧態依然からは隔絶した文字とおりの奇跡を毎日起こし続ける技術を満載。
このスキルは、サラリーマンにもプロジェクト必勝法となる――不思議!




定価:1,200円(税別) 


【立ち読み】

入院中に頑張るのはわりと簡単だった。治ると思ってたからね。

5月24日 原点に戻りたい。もう罹患してしまったのだから、その前を出発点にするのは誤りだと、リハビリ界の空疎な権威ジジイに説教を垂れられる暇などない。キミらには少しでも脳梗塞について、ヒューマンビーングの1人という立場に出逢い、イチから学んでほしいと思う。まあ、あの無知とやる気のなさと社会性や常識のイロハなしには無理だろうなあ。

 私は医師団の話を聞いた上で本人たちに精一杯わかりやすく疑問もぶつけたが、間違った答えを――命にかかわることも――平気で彼らは公の診断の場で口にする。日本にまともなリハビリ医師はいない。厚労省が認定したリハビリ病院で2年間働けば「リハビリ医師」の認定がされるのだが、よく考えてみてほしい。フグの調理をするには免許が必要で、その試験には実技がある。どこで実技の練習をやったんでござんしょうね。

 似たような例だろう。医科と歯科は分かれており、医師はどの分野で適当に看板を出してもいい。病院(医院)に行く側からすれば、たとえば「泌尿器科、内科、胃腸科、皮膚炎、ED」と看板に書いたあったら、この医師の専門は泌尿器科とみて間違いない。
 リハビリ医は最近できたばかりなので、やっとこ仕事で認定することにした。既に認定病院になっているところで充分な休養とサラリーをもらいながら、患者をほとんど見る目を持たず勉強もせず、放射線医を失格した医師が、2年いればリハビリ医に変身するんだよ。おもしろいでしょ。

 先ほどの問いに戻る。時には原点に戻る必要はある。終わったことなのだから先へ! というのが常識なのがわからない。殺人事件や概ね回復するのが10年の障害事件で、まあ終わったことですから、とはならない。
 それだけではない。

 我々患者が果たすべく5つのミッションは、現状において大いに疑問があるのだ。

1.退院後も一生リハビリを続けて死んでゆく。
2.死ぬまで幾種ものクスリを飲み続ける。
3.装具(補助靴)は、4カ月(それまでは車椅子)で4種を私は作り変えた。全然ちがう。医療保険は1つを買えば2年間つかえなくなるから、96%の患者は不適応な補助靴を2年間も強いられ、寝たきり組が加速していかざるをえない。私は4種とも保険適用外にし、すべてオーダーメイドで、最適のものにしてもらった。保険適用外の場合ですら、リハビリ病院と装具会社が寄生虫の関係なので、病院が儲けを吸い上げるため、個人の患者や、民間リハビリで装具を作るのは全く違法でもなのでもないのに、リハビリ病院の既得権になっている。 4.リハビリは入院中で終わらないから、費用を工面しなければ諦めさせられる。
5.再発予防。

 以上が現実である。

 私は「独りでの外出」をついに1度も許可を得られぬまま、仮釈放となったのは4月29日のことだ。実質的には昨日である。おめでとう。

 よく考えなくても、わかるかと思う。どうやって、独りで外を移動できない者が、通院するのでしょうか。

 私個人は4カ所を通い続けてきた――本日からは脳外科プロジェクトが入るので5カ所、障害者スポーツ公園でのパラリンピックも視野に入れるから7カ所になる。もう1つは、慶應病院への電極使用に伴う入院である。

 180日を超え、いまも上半身、下半身(そういう意味じゃなくて)、頭部の中と外――いまでも舌や頬なども麻痺が収まっていない――と、事態は予断を許さない。

 昨夜、こんな文章を読んだ。

《おとといの朝、武蔵野線で日垣さんより歩くのが辛そうな30台半ば(若いっ!)の男性が電車に乗車してきました。
 杖を付いて足や手がプルプル震えていました。
 日垣さんのメルマガを読んでいたのに条件反射で、「お掛けになりませんか?」と聞いてしまいました。
 当然のごとく「いいえ」と遠慮なされました。危なくて座れないのですよね。
 もし座っても今度はなかなか立てないのですよ。大反省です。笑顔に救われました。
 降りた駅が同じでしたので乗り込むまでエレベーターの扉を開け続け、降り切るまでは扉を押さえていました。(後略)》

 私は彼ほど若くはないが、要介護1~3同士、ここを乗り越えうる者たちが、日々闘い続けなければならない。全国民の17%が罹患する脳梗塞が、なかなか本にならず、初の病床からのルポルタージュも、まだ発売から3日目だが、売れ行きはパッとしない感触だ。

 一昨日、180日(法定6カ月)を超えた。3年前までは12カ月、6年前までは24カ月だったのに、厚労省の無駄遣いの尻拭いでこういうことになっている。

 昨日は、気力が抜け、あまりにも過酷なリアルな世界に耐えることを諦めかけた。今日は、プロジェクト検査と治療が始まる。開頭もするかもしれない。

「一生これらのクスリは飲み続けなければならないのですか」と訊いたら、優しいけれども不勉強もここまでくるかあという典型の医師免許をもった人は即答した。「そうです」。

 私の脳梗塞は、かなり珍しい解離性だ。3大タイプとは異なり、危険リスクは皆無で、心臓に問題もなく、血液も30代との結果であった。ゴルフ中に首の(頭部に至る)脈4本のうちの1本が折れ気味となって、下手に体力がまさってしまい、4日後に昏倒がやってきた――とは5月22日号でお話しした。

 ということは、たとえば血圧降下剤も、調整剤も、そして血液サラサラ剤を毎日飲む必要などないことになる。これは、いま私が飲んでいるすべてだ。昨年12月から血圧はどんな運動をしても上130を超えたことは1度もない。血液サラサラ剤のおかげで3分で止まる小さなキズから36時間も大量の出血が止まらなかった。そもそも、もともとサラサラな血に、サラサラにするクスリを飲まされれば、脳出血の直因になる可能性は大きくなるのだ。
 私の入院していた病院の医師団に対する「お飾り能無し、ただ良い人かコミュニケーションがとれないかのどちらかではある」という、大半の患者の判断は正しかった。

 だが、私は起き上がれずにリハビリを半年間で休んだのは、1日だけだった。重病人が、ですよ。

 こんな状況にいたら、微々たる変化を重ねつつも、気力が失せることもあるだろう。エスカレーターで転ぶことは避けたくても、周囲が多少の理解を持っていることは期待できない、しばしば平気で押し飛ばされるというとこから我々は逃げるわけにはいかない。

 逃げたいけどね。


愚痴は言わないっ

6月1日 昨日も精密検査が続いていた。最新刊『脳梗塞日誌』はよく売れていない気配みたい。皆さんの応援を初めて心からお願いしたい気持ちになった。本職だしね。  精密検査は、心配してくださるようなことはない。左脳の動脈が切れそうで、その場合は即死する程度の話である。

 日本を代表する脳外科医に先週から診てもらっているのだが、私はあらゆる角度から見てエスキモー(イヌイット)型だそうである。たとえばデンマーク人は、エスキモーの脳梗塞罹患率より100倍ほども多い。世界でエスキモーが一番、少ないのである。

 アトランダムに日本人を100名ピックアップしたとき、私はどのグループでも「最も罹患しない」ものになる――それほど危険因子がなかった。
 が、現実に発症した。なぜだ、という話になる。簡単に言えば、各種スポーツをグアム島の合宿で繰り返していた際(首を回した瞬間)頭蓋内動脈が骨に当たってしまった。  習慣性でもなく(暴飲、コルステロールなど)、血圧その他にも問題が全くないうえ、糖尿や不正脈なども皆無である。
 それが改めて確認されたからどうだ、ということになるだろうが、意外と重要なのだよね。原因が特殊だから、今日を限りに命が終わるか、クスリも飲まなくていいか、両極端な診断が可能なのである。
 ベテラン脳外科医が集まって2週間、結論が出ない。昨日は、朝9時から検査と検証を始めた。あごの上あたりにあるマンモスの牙(きば)――人間にもたとえばシッポの痕跡と考えられる尾てい骨があるでしょ――のようなものが残っている。私の牙が7センチくらいあるとすれば、血管破損の説明がつく。というわけで、すくに検査をしたら何と、たったの2センチ。ううむ。
 次に、これも生まれて初めての脳内血管に造影剤を投入してのCT検査を――。技師いわく、「身体中が熱くなったり、頸部がものすごく違和感があったりしますが、それは大丈夫です。腕から入れる造影剤を身体が拒否すると何とか(聞き取れず)な場合は危険なので、すぐこのコールを押してください」
 この検査を来週に回していたら6日間くら~い気分になっていた気がする。即、頭蓋骨を開いて手術にもなるしね。
 それを「ついでに今日やっちゃいましょう」と、私にではなく家族に医師が言い、うっかり私は何が始まるのか知らずに造影剤使用のCT検査が、今年9回目となるMRI検査などとともにやることになったのは、慶賀すべきことなのかなあ。とにかく肝要な検査が、最良のスタッフと環境のなかで3週間かけて行なわれ、その間にもリハビリやら入院先であった病院にも行くなど、いろいろとある。その日も朝8時半にタクシーで出て、再びタクシーで帰ってきたのは12時間後だ。
 みなさま、この費用どうされているのでしょう?
 タクシー代が介護保険で出ることはありえない。介護保険は、ずっと寝ていろというコンセプトのもとに作られている。

 脳が忘れている歩き方も大幅な再構築があり、半年弱で4種の装具(歩行の補助具)を作ったおかげで、良くなった歩行を装具が妨害してしまう、という難点を逃れた。  この装具は、医療保険の対象にはなっているのだが、2年に1足しか作れない。大切な足のために、20万円や数万円程度(改善するたび軽微になり、安価になってゆく)は出し惜しみする場合ではない気がする。が、98%は保険内で、とんでもない代償を払って(脳の可塑性は抜群であるのに、それを押し殺してしまう)倹約優先している事態をリアルに見ると、治るものも治らねえよっと素人でもよく分かる。
 500万円のロボ義足の検討なら迷うところかもしれないが、4万5000円の装具を2年(!)も待たず「今、必要な時期」に少々無理しても――ていうか普通の紳士靴だって7万円はするのだ。話がややこしくなるから、7万円が普通というのはここでは控えておくけれども、大事な足の回復局面で4万5000円を倹約するか、大半が。
 日本は豊かな国では、もうないのか。

 忙しい秒単位の検査を病人にしていいのか(笑)とは思いつつ、付き添いとすぐ(帝国ホテル近くの)宝塚へ。半年ぶりだ。

 舞台の上の華やかな世界と、客席の不細工が対照的で楽しい。1500人の客席で、ツエを使っている人は5人。大きな階段やエレベーターは良いのだが、客席には手すりはなく、這い登る気配であった。みな、不細工にしては心の暖かい人たちばかりなので(口が悪くなったのは高次脳機能障害か)、1500人のなかで「5歳から宝塚を観て育った」身体が半端なおっさんに通路も譲ってくれる。

 これなら、映画館も、いけそうだ。病前はクルマで3本ハシゴをみたいな映画の見方をしていたのだが――いつもギリギリ――これからは、あんな暗闇で、しかも階段だらけ、人だらけのなかを歩くのは無理だろうと思っていた。この病気になった先輩たちは、映画? 競馬? 宝塚? ブロードウェイ? という感じだ。

 趣味は、どうでもいい。
 行政に正しいことを求めたら確実に死ぬのが先だ。愚痴をやめて、今日を限りの命が知れないのだから、たくさん動こう、と思うのである。

【目次】

まえがき
突然また、倒れてしまいました
老いも若きもメモ!
脳梗塞は意外に怖い。意外ではないか(笑)。笑うとこでもないね
「今日が人生最後の日だと思って生きなさい」 byホスピス医 小澤竹俊氏
「白衣の天使」との別れもまた
決断は早く、早く
厚労省役人はお目々覚まそう
読む力
よく効くクスリの副作用は怖い
もう伸びないのか、我が後遺症改善
「里芋は重い」話
存在の耐えられない重さ
プロとは何者か
高級ナースウォッチ(笑)
ありうることは起きる。ありえないことも起きる。人生いろいろ。
即死より怖い再々発
天声人語を優秀な小学生が書いているという説について
皮肉と失言とウソかマコトか
贈る言葉
世界一難しい訓練
本日、仮釈放へ
母の日に。これぞ!
シャバは厳しいけれども
「要介護3」は外出もありえないことなんだって
駅の長ーい階段を紳士が這う
回復期「最大6カ月」の国民的ウソ
入院中に頑張るのはわりと簡単だった。治ると思ってたからね。
愚痴は言わないっ
本当に這ってたんだ
初めてのプール
海洋から人類が誕生した説
失って初めて、動き、表現が見えてくる
這って訓練――明日からロシアに独り旅へ
海外旅行のドキドキ
旅の有無でなく
泣き面に蜂
階段が降りられない人は多数派
記憶回復増強法
「利き手」交代のとき
あれから1年が経つ
カジノで再デビュー(>_<)
挑戦 「既知なる未知」の世界へ バカラ編
高次脳機能障害なんのその!
あとがき


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