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「母たちを連れてゆく海外旅行は……」(20代後半、警察官)

Q:公務員の人事異動が発表される時期になりました。
 私は地方都市の交番に勤務する警察官です。〔中略〕
 今夏、私は母親と叔母を連れて海外旅行を計画中です。私と母親は初めての
海外旅行で、叔母も海外には一度だけしか行ったことがありません。3人の仲
はいいのですが、これまで国内旅行なども一緒にしたことはありません。旅行
すること自体少ないほうだと思います。私と母親、叔母というメンバーでも楽
しめる場所があれば教えていただきたいと思います。
 期間は1週間以内、1人30万円くらいの予算を考えています。母親にはこの
ためにわざわざパスポートの取得をしてもらいました。
                    (20代後半、警察官、男性)


A:お母様たちを海外旅行に連れて行こうと思われること自体、本当に羨まし
いことです。ぜひ、計画を実現してください。


 このご質問をいただいて数日間、ずっと考えてみました。たぶん、アンケー
ト調査をやれば「ハワイ」が1位になるのではないか、とは思います。
 でも、その前にいくつか申し上げたいことが湧き出てきてしまいました。


 まず先に「失敗」をイメージしてみてください。せっかくあなたが90万円も
負担して旅行をしたのに、「つまらなかった」と思われたら……。あるいは旅
先で、姉妹(お母様と叔母様)が喧嘩をしてしまったら……。
 そういうことは、極端な話ではなく、よくあることです。「つまらなかった」
とまでは言わなくても、旅費だけでなく、豪華なディナーまで奮発したのにホ
テルの部屋に戻って「お茶漬けが食べたいねえ」とか、帰国後「ああやっぱり
我が家が一番」とか、そんなことを言っているのを聞いて、傷ついてしまうこ
ともあるでしょう。


 でもまあ、そういうのはふと口に出てしまったことで、むしろ「一緒に旅行
する際には付いてまわること」というふうに思ってください。
 では、致命的な齟齬(そご)を避ける道はあるのでしょうか。
 もちろん、あります。


 具体的には――
(1)「そういう事態が起きうる」とよく心得ておくこと
(2)別行動時間をあらかじめスケジュールに入れ込むこと
(3)移動にエネルギーを浪費させないようにすること
(4)親しき仲でこそ金銭負担の合意を


 少しだけ補足しておきます。


(1)は要するに、あとあとまで尾を引くような齟齬を避ければいいというだ
けのことです。多少の不満や失敗は、いずれ思い出に変わります。


 複数の人との旅には我慢が付き物ですから、それを爆発させない工夫が必要
でしょう。ここは強調しておきます。問題は我慢が必要なことではなく、それ
を爆発させないことです。
「食事がマズかった」とか「サービスが悪い」とか「道に迷う」等々の不測の
事態や不満を抱くことは避けられません。皆それぞれに我慢するわけですね。
その蓄積度合いは、個人差よりも、「自分は××してあげたのに、相手の感謝
が足りない」というズレに根ざすのが普通です。


 およそ我慢には、時間的負担と体力的負担と経済的負担に根ざすものがあり
ます。それらをガス抜きするために2、3、4を心がけてみてください。


(2)は、「ずっと一緒にいなければならない」という非日常こそが、旅にお
いて最大のストレスになりうるからです。
 一方は「寝ていたい」のに他方が「買い物をしたい」と思っていたり、一方
が「宝石を買いたい」のに他方は「民芸品をじっくり見たい」と思っていたり。
要するに同床異夢がストレスのもとになるわけです。


 もちろん、別行動(自由行動)をする時間帯に、それぞれの合意が当地でで
きて一緒に行動する、というのはアリでしょう。結果的に同伴するにしても、
それしかできなかった、というのと、別の選択肢があったのに楽しそうだから
敢えてそうした、というのでは精神的負担が全く異なります。


 体力的負担を減らすためには(3)が肝要です。一人旅や、旅慣れた者同士
の旅行なら、移動手段はめちゃくちゃでも構いません。が、団体旅行にもぐり
こむのではなく、初体験に近い3人〜4人旅行なら、「日本語のできるガイド
つきのタクシーを朝から夕方までチャーターする」という方法をお薦めします。
 日本人のよく行く旅行先なら、必ずそういうタクシーはあります。旅行代理
店に問い合わせてみてください。


(4)についても補足しておきます。
 あなたは交通費プラス宿泊代だとして(3人分)90万円もの負担をなさるお
つもりなのですよね。すばらしいことです。
 でも、そこには成田空港までの交通費や食事代やタクシー代やお土産代その
他は含まれていませんね。
 含まれているのなら、あるいは既成のツアーに申し込まれるのなら、大丈夫
です。しかし、そうでないとしたら、「この費用は誰が負担するか」というの
は、あらかじめ合意しておいたほうがいいでしょう。そんな程度のことで嫌な
思いをしないために、です。


 さて、ご質問は、こういうものでした。
 ――3人の仲はいいのですが、これまで国内旅行なども一緒にしたことはあ
りません。旅行すること自体少ないほうだと思います。私と母親、叔母という
メンバーでも楽しめる場所があれば教えていただきたいと思います――。


《私と母親、叔母》のお人柄や趣向をまったく存じ上げないので、判断に苦し
むものの、無難という点では既成のツアーに参加するのが、悪くないと思いま
す。ツアーに申し込むのであれば、場所はどこでも同じようなものです(パン
フレットをたくさんもらってきて、行き先は3人で決めればいい、という意味
です)。


 ツアーなら、個別に飛行機の予約も必要なく、たいてい食事もついています
し、ホテルも当然セットされています(お母様と叔母様は同室、あなたは「一
人部屋の追加料金」が必要ということになろうかと思います)。オプション
(別料金を支払ってのプラスのお楽しみ)を付ければより充実することは確実
で、嫌なことはすべて旅行会社やツアコンの「せい」にできます(半分冗談で
す)。


 ただし、これだけ急激な円高が進行しているのですから、円安時に企画され
たツアーにやすやすと乗るのもシャクではないですか?
 10年前に比べて、円が数倍にも高くなっている国がいくつもあります。円高
は、海外旅行者には至福です。現地での物価が同じであっても、かつて5万円
のホテルが1万円程度の負担で泊まれるようになるわけですから。


 ただ、これではご質問にお答きしきれていないので、一つだけ具体的にお薦
めの「場所」を書いておきます。


【お薦めコースの一例】
 ビジネスクラスで行くバリ島(インドネシア)1週間/予算は3人合計で80
万円(現地でのレストラン+車のチャーター+マッサージ+国内移動も含めて
90万円)


 飛行機はビジネスクラスを(エコノミー席にプラス7万円程度の上乗せで可。
あらゆる点で満足度が高いわりには、ヨーロッパ線や北米線などでの1人プラ
ス45万円というような価格負担はなく、かと言って、わざわざビジネスクラス
にする必要を感じないグアムやソウルや上海のような短距離と異なります)。


 最初の2泊:メディア・バリ・リゾート&スパのヴィラ(目安として1泊320
米ドル)。
 もちろん、プライベートのプールと、ヴィラ利用者用の50メートルプールも
あり(普通の個室での宿泊はお薦めできません)。そのままビーチにも行けて、
各種マッサージもあり。朝から晩まで自由時間にしても楽しめる。すぐ近くに
巨大なショッピングモールあり、レストランも多彩。ただし、あらかじめエキ
ストラ・ベッドを入れてもらう要あり。


 後半の3泊:マヤ・サヤン(目安としてオフシーズン1泊300米ドル〜オン
1泊600米ドル)。
 日本人経営の超極上ヴィラ。2〜3ベッドルームのある部屋(全室ともヴィ
ラ)を予約してもらうこと。ご質問者には3ベッドルームがお薦めですが、ダ
ブルベッドなので、2ベッドルームでも充分でしょう。
 箱根や熱海にある「プライベートプールつきのヴィラ」など、ここに比べた
らコドモです(地価や建設費が全然違いますからねえ)。
 http://www.mayasayang.com/japan/index.html


 バリ島で日本語のできるガイド+タクシー運転手を丸一日チャーターしても、
5,000円〜6,000円です。
 ガイドブックのページを開いて、指を指して「ここへ行きたい」と言えば、
どこにでも連れて行ってくれるでしょう。近場でも、外で待っていてくれます
し、チップの習慣もありません(ないからこそ、事前チップの活躍度合いは上
がるわけですが)。


 500米ドルの豪華な部屋といっても、1米ドル200円なら10万円ですが、1米
ドル100円なら5万円になり、3人で割れば(そしてその超豪華さに比べれば)
大したことはありません。
 さらに対ルピアの円は、10年前に比べれば5倍ほども強くなりました。非常
に旅行がラクです。


 旅行が終わってから「もう一度このメンバーで来たいね」と言われたら企画
者としてはハッピーでしょうが、次にこの予算でこれだけの贅沢ができるのは、
ちょっとありえないと思います。


「ガッキィファイター」2008年03月22日号に掲載

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