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特集「知的整理法革命」(「中央公論」5月号)


 特集は「達人たちが語る知的整理法革命」。寄稿者は、野口悠紀雄、梅田望
夫、外山滋比古、佐藤優、勝間和代、茂木健一郎の各氏。この分野でトキのヒ
トを、よくこれだけ集めたと言いますか、予想通りのラインナップと申しま
しょうか。


 どれもこれも勉強になりました。印象に残った言葉を二つばかりご紹介いた
します。


 1983年の刊行(ちくま文庫は1986年刊)にもかかわらず、最近の第3次「知
的」ブームにより、文庫部門でトップに躍り出てしまった『思考の整理学』の
著者は、こう言います。


《記憶力に優れ、知識が豊富なヒトは、思考力が乏しい。逆に、思考力があっ
て面白い考え方をするヒトは、どちらかというと不勉強である。〔中略〕
 思考力が最も旺盛なのは赤ん坊です。初期の段階は知識がゼロに近い状態だ
から、あらゆるものを考え、感じ、認識していく。》(外山滋比古「何歳に
なっても思考力は鍛えられる」)


 最も驚愕すべきは、佐藤優氏の執筆枚数に関する告白です。


《二月に書いた新聞・雑誌の原稿を数えてみたら五七本だった。これに加え、
文庫本の解説書きが二本あった。これで四〇〇字詰め原稿用紙に換算すれば
一一〇〇枚くらいになる。別に対談原稿の直しがあり、これも合計すれば二〇〇
枚くらいあった。さらに、単行本の原稿も二〇〇枚くらい書いた。ということ
は、月産一五〇〇枚ということになる。》(佐藤優「獄中で会得した読書ノー
ト作成の極意」)


 毎月大量に書く生活を続け、過労がたたって香港で吐血して亡くなった梶山
季之氏の「活字になった1カ月の原稿1,124枚(1969年10月)」が記録に残る
最高枚数のようなので(私が知る限り)、佐藤氏の月産枚数は日本文筆史にお
ける新記録ということになるのではないでしょうか。


 先日、久しぶりに文芸評論家の福田和也さんにお会いしましたら(福田さん
は『ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法』の著者でもあります)、「佐藤さ
んのおかげで、もう乱筆家とか書き散らしているなどと自分が非難されるいわ
れはなくなった」と安堵しておられました。


 佐藤さん。あっという間に過労死しないでね。

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