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梅棹忠夫氏より

■梅棹忠夫氏(1920年〜):京都市に生まれる。1943年、京都大学理学部卒業。
同大人文科学研究所教授を経て、国立民族学博物館名誉教授・顧問。専攻は民
族学、比較文明論。1969年に刊行された『知的生産の技術』(岩波書店)は大
ベストセラーとなり、日本のインテリ各層に計り知れないインパクトを与えた。
知的生産は、個人の才能や秘儀ではなく、むしろ普及可能な「技術」にかかっ
ている、ということを日本で初めて露わにした本だった。


 ついでながら、私はつい先日、21世紀版『知的生産の技術』を書く約束をし
てしまいました。恐ろしいことです。


《われわれ研究者が学術雑誌以外の刊行物に執筆する機会は、むかしとくらべ
ると、比較にならぬくらいふえているのである。今日においても、研究者のな
かには、アカデミズム以外の――たとえばジャーナリズムにおける――情報の
うごきにはいっさい無関心というポーズをとっているひともあるが、すでに時
代は変化してしまっている。そのようなアカデミックなポーズをかたくなにと
りつづけているひとさえも、しばしば非学術的刊行物に執筆せざるをえないと
いうのが実状である。皮肉なことには、そのようなひとのかくものは、かえっ
て、すくいようもないほど低俗にながれたりすることがすくなくない。時代の
状況変化に対して鈍感で、感覚的なずれがおこっているからであろう。


 今日、一般社会の知的水準はおどろくばかりたかいものになってきている。
今日の市民は、低俗でもないし、無知でもない。そのような市民の高度な知的
要求に対して、良質の情報を提供し、適切な意見を表明することは、現代の知
識人としては当然の責務であろう。》(『情報管理論』岩波書店、P232〜P
233)

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