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安宅和人『イシューからはじめよ--知的生産の「シンプルな本質」』(英治出版)

 いやあ、すごい本でした。
 本文もさることながら、各章の冒頭に小さく引用された名言も、抜群。

 序章の冒頭には、こんな言葉が引用されています。

《一人の科学者の一生の研究時間なんてごく限られている。研究テーマなんて
ごまんとある。ちょっと面白いなという程度でテーマを選んでいたら、本当に
大切なことをやるひまがないうちに一生が終わってしまうんですよ。
                 ――利根川進》

 この序章だけでも、お読みいただきたい。
 とてもとても大切なことが書いてある。

《世の中にある「問題かもしれない」と言われていることのほとんどは、実は
ビジネス・研究上で本当に取り組む必要のある問題ではない。世の中で「問題
かもしれない」と言われていることの総数を100とすれば、今、この局面で本
当に白黒をはっきりさせるべき問題はせいぜい2つか3つくらいだ。》(P28)

 第1章の中には、「知り過ぎる」ことの弊害も、実にクリアに解説されてい
る。卑近な例で恐縮だが、このメルマガの「社説」でSSRIの代わりにED(勃起
不全)改善薬を、と書いたときに一斉に反発だけした人々も、「知り過ぎ」の
害の例にほかならないでしょう。
 その分野について(過去の知見の)何もかもを知っている人は、新しいアイ
デアを出すことは不可能と言っていいのです。

 同様の趣旨のことは、第4章でも別の角度から論じられています。

《数字をこねくりまわさず、手早くまとめることが大切だ。1回ごとの完成度
よりも取り組む回数(回転数)を大切にする。また、90%以上の完成度を目指
せば、通常は途方もなく時間がかかる。そのレベルは、ビジネスではもちろん、
研究論文でも要求されることはまずない。そういう視点で「受け手にとっての
十分なレベル」を自分のなかで理解し、「やり過ぎない」ように意識すること
が大切だ。》(P198)

 本書のすべてが熟読に値します。そのなかでも、とりわけ私が隠しておきた
い個所(笑)は、P94~P97です。
 地球温暖化を例にしての「考え方」なのですが、私は驚天動地の思いを深め
ました。
 ああ、そうなのだ!

 この視点こそが、これまでの「温暖化」定説や、「温暖化間違い論」にも欠
けていた重要な見方だったのだ、と思わずにはおれませんでした。

 意地悪だから、ここでやめておきます(笑)。

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