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暮らしの絵本『お仕事のマナーとコツ』(学研、1,260円)

 葉書や封書に「御中」と書き足したり、謙遜して書かれた宛名の「行き」を二本線で消して「様」に書き換えたり、案内状に対して出欠の返信をする際に「お名前」や「ご住所」の「お」や「ご」をわざわざ消したり……。


 伝統やシキタリというものは概して省エネ的ではないわけですが、こういうものは誰かに教えてもらわないと、恥をかくことになります。
 恥をかくどころか、恥をかいていることにすら気づかないというのが最悪のパターンです。


 靴の揃え方にも礼儀があります。出版社の編集者なら「お原稿をいただきました」と表記するところ、そういう基本的な作法を教えられる機会が少ない新聞社では、きちんと親や上司が教えたという場合を除けば「原稿」に「お」をつけることもありません。


 いや、もちろん私の安っぽい原稿に「お」など付けてもらわなくて構わないのですが、お里は知れます。


 マナーというのは、しばしば合理的ではありません。タクシーに乗るときの順番とか、接待時の座り方とか、名刺の受け取り方とか。
 若い人にならどうでもいいと思われがちなことですが、しかし基本的なマナーを知らないと、「やれやれ、こんなこともできないのだな」と相手に思われるリスクを確実に背負います。


 こういうシキタリの幾つかは、いずれなくなっていくかもしれません。
 が、会ったこともない先輩に、いきなりメールで「宛名なし」「差出人なし」のメールを出すとか、コートも脱がないでそのまま客室に入ってくるとか、そういう人はそれなりの扱いを受けることになるでしょう。


 本書は、イラストつきで、それぞれ簡潔にポイントが押さえられています。 単なるマナー事例集ではなく、例えば「部下・後輩に仕事を頼む」という項目は、こんな具合です。


《自分が先輩だからといって「やっておいて」と偉そうな態度をとるのは禁物。「忙しいところ悪いけど」「今いい?」と相手を気づかって。
 頼む内容は、「何を頼みたいのか」+「どのようにしてほしいのか」+「いつまでに」を明確に伝えて。


 最後に「突然でごめんね」と、お詫びの言葉をプラス。
 そして仕事を頼んだ後は滞りなく進んでいるか、アフターフォローを。
 ただし、お願いした仕事のできが悪いときは、(気が引けるかもしれないけれど)きちんとダメ出しを。「お願いされたこと」と「仕事のでき」は別のこと。そこで大目に見ることは、かえって部下・後輩が仕事ができない人間になる原因になります。》


 会議での発言も、《意見はまず結論から》などなど、あたりまえで大切なことが、きちんと押さえられています。


 なかなかすぐにはできないのですがね。これらができている人材を、もっと会社は大切にしないといけません。

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