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『世界のいじめ』(金子書房、8,400円)

 いじめに関する議論でも、まるで日本独自の現象であるかのような物言いが
多いので、困ったものです。日本独自だとは主張していなくても、「以前のい
じめとは明らかに異質だ」と断言する識者もおり、何を根拠に、とお尋ねして
おきたいと思います。


 本書は、いじめという現象に対して、各国のマスコミ、教育機関、研究者、
親たちがどのように認識し対応しているか、という稀有(けう)なレポート集
です。


 先ごろイタリアでは、ダウン症の生徒に集団暴行を加えている映像がネット
に公開され、その事件があったトリノのみならず全伊(イタリア全土)で大騒
動になっています。11月14日には検察庁も捜査を始め、加害者4人から事情聴
取をした模様です。その後の経緯を見ていますと、こちらでも、あちらでも、
と告発が相次いでおり、犯罪としてのいじめは日本に限ったことではないこと
がよくわかります。


 では、こうしたことは本当に「昔はなかった」のでしょうか。
 ガキ大将がいたからとか、いろいろ感覚的(ノスタルジー的)な解釈は可能
ですが、「かつてもあった」証拠はたくさんあります。


 本書を通読してみても、ひどいいじめがあったものだ、と溜息が出ます。
 多くの国々で、いじめ問題への取り組みが遅れていたことも、よくわかりま
す。例えばスペインでは、1989年まで「いじめ問題」というのは存在しなかっ
たそうです(P356)。もちろん、実態として「なかった」のではなく、「認
識されていなかった」あるいは「研究対象にされていなかった」という意味で
す。


 ここでお断りするまでもなく、いじめ問題に「取り組む」ないし「対策をす
る」は、世界のスタンダードでは「大人が介入する」と同義です。


 ただし、日本に特徴的なことがないわけではありません。
 本書に掲載された22カ国についてのレポートを通読すると、日本(本書には
掲載されていません)の教育機関だけが「いじめの存在を認めようとしない」
傾向が非常に強い、ということに気づかざるをえません。


 何事についても、現状や対策を論じるに際しては、歴史の縦軸と比較の横軸
を参照する、ということは基本中の基本です。


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